「さあ
今日も気合いを入れてあの人についていきますよ!」
そう言って元気良く伸びをして
乱れてきってボサボサになっている自身の金色の髪を日本で買ったお気に入りの椿色の櫛で説かし、いつもの白いスーツに身を通し、前髪を整えてあの人の元へ駆けた。
「おはようございます!兄貴!」
「…うるせーぞ…騒がしく廊下をわたるんじゃねぇ!」
その人に朝の挨拶をするために部屋に入ればその人は
窓も開けず、カーテンを閉め切っていつもの銘柄のタバコを吹かしてソファーベッドに横たわっていた。
あーあ、また今日も怒鳴られてしまった…。
このイカしたfaceにカッコいい出で立ちでソファーベッドに横たわり、タバコを吹かすカッコいい(2回目)男性はプロシュート兄貴。私の尊敬する大切な命の恩人なのだ。
「オイ」
「はい!なんでしょうか!…てきゃあああ!」
憧れの人に呼ばれて返事をビシッと決めて、兄貴の方へ顔を向けると、なんと着替えの最中だったてはないか。
あわわ…
プロシュート兄貴の肌が露に…う、美しい。
白い肌にしっかりと引き締まった筋肉…細長い手足。
余り男性の体をまじまじ見たことがなかったから、ましてやプロシュート兄貴の裸なんて見たことのない私の心臓がいきなり活発化した。
「…また、女と寝たんですか…」
「…片付けとけ。そいつはもう用済みだからな」
これを見た私の心臓はまた正常通りの鼓動を刻み始めた。
ふと、プロシュート兄貴の側に落ちていた女ものの服に目が行った。きっと任務の為に抱いたのであろう女が1人ベッドの下に寝ていた。ひどく怯えていたが意識はあるようだ。
どうりでプロシュート兄貴がいつもはしない寝坊助をするわけだ。この女(ひと)、癖がありそうだもん。
「あなたに罪はないけどさ…サヨウナラ」
女は怯えたように私に必死に命乞いをしてきた。
だけど、ここを何だと思っているの?
ここは暗殺チームのアジト。逃げられなんかしないよ。
それに、プロシュート兄貴を汚したんだからそれなりの覚悟はあるんでしょ?
私はゆっくりと震える手で引き金を引いた。
…弾は女には命中しなかった。女は逃げた。
私は失敗してしまったのだ。
「……また、外したのか」
「すみません……」
私はただ、兄貴に誉められたかったんだ。
だけどもいつもうまくいかない。
引き金を引けないんだ。プロシュート兄貴の前だと。
「そんな顔すんな…お前らしくねぇ」
「…」
失敗してしまったのだ。
笑って返すなんて出来ないよ…兄貴
「お前は、笑えナマエ」
「笑うことなんて…出来ませんよ」
「…お前の湿気た顔、朝から見たくねぇよ…」
「すみません…」
プロシュート兄貴は立ち上がり、私の握りしめていた銃を私の手からスルリと抜き、木で出来た…いつも兄貴が座る机の上に置いた。そして再びソファーベッドにドカリと座り、私を抱き寄せた。
「悪かったな…」
耳元やさしくで囁くプロシュート兄貴の吐息が私の耳にかかり、何だかくすぐったい。
あのときと同じだ。
プロシュート兄貴に助けてもらって、この世界に入ったあのときと…
ああ、神様。
こうして愛しい人の側に居て、もう少しだけと願うのはダメでしょうか?
そう願いながら私はプロシュート兄貴の胸で静かに目を閉じてスヤスヤと夢の世界にはいった。
夢のまたゆめ
(もう少しだけこう居させてください)